ふくらはぎの女(ひと)【完】
(2)
私は母の唯一人の子供、
忘れ形見である。
今年二十五になった。
名を、娘子という。
「むすこ」と読むのだ。
ムスコかムスメかどっちやねん、
という話である。
この名をつけたのは母だという。
小学生の頃、
自分の名前の由来をテーマにした
作文を書けという宿題があった。
その時母に尋ねた、
私の名前の由来はこうだった。
「だって・・・なんかかわいいでしょ?
ムスメなのに、ムスコって」
最低二枚は書かなきゃいけない作文に、
私は大いにてこずった。