AKANE -もう一度、逢いたい-


***


一方、もう1人の明音は必死の形相で走り回っていた。


「明音ちゃん?」

「蒼次くん。
あの、茜ちゃん見なかった?」


息切れするほど走り回っている様子で、しんどそうだ。

ミスコンまであまり時間がない様子だ。


「見てないけど。
何かあった?」

「実はミスコンの急な企画で、友だちと一緒に出ないとならなくて…」

「それで茜を探してるんだ。でも明音ちゃんだったら他にたくさん友だちいるでしょ」

「それが…無理みたい」


半泣き状態の明音ちゃんは声も上ずっていた。


事情をよく聞いてみると、他の友だちもクラスの子や後輩までも『今日は忙しくて』って声を揃えるかのように断られているらしい。


こんな現象おかしいとしか思えなかった。


いつも人気者で女子、男子関係なく好かれる明音ちゃん。

そんな彼女を拒否するなんて、やっぱりおかしい。


「だから…
あとは…茜ちゃんしか…」

「そっか。
見つけたら俺も言っておく」

「あ、ありがとう」

「だから明音ちゃんは
ミスコン会場で待ってな」

「うん!」


彼女は優しく笑って駆けて行った。


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