AKANE -もう一度、逢いたい-
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一方、もう1人の明音は必死の形相で走り回っていた。
「明音ちゃん?」
「蒼次くん。
あの、茜ちゃん見なかった?」
息切れするほど走り回っている様子で、しんどそうだ。
ミスコンまであまり時間がない様子だ。
「見てないけど。
何かあった?」
「実はミスコンの急な企画で、友だちと一緒に出ないとならなくて…」
「それで茜を探してるんだ。でも明音ちゃんだったら他にたくさん友だちいるでしょ」
「それが…無理みたい」
半泣き状態の明音ちゃんは声も上ずっていた。
事情をよく聞いてみると、他の友だちもクラスの子や後輩までも『今日は忙しくて』って声を揃えるかのように断られているらしい。
こんな現象おかしいとしか思えなかった。
いつも人気者で女子、男子関係なく好かれる明音ちゃん。
そんな彼女を拒否するなんて、やっぱりおかしい。
「だから…
あとは…茜ちゃんしか…」
「そっか。
見つけたら俺も言っておく」
「あ、ありがとう」
「だから明音ちゃんは
ミスコン会場で待ってな」
「うん!」
彼女は優しく笑って駆けて行った。