AKANE -もう一度、逢いたい-
***
ミスコン開始まで残り10分前。
茜が保健室を飛び出してから、探しているが逢えずにいる貴之だった。
明音ちゃんが結局どうなったのかとか本当は気にしてあげるべきなのかもしれない。
しかし今の俺はそれどころじゃなかった。
優先するのは茜だけ。
ずっと、さっき急に取り乱した彼女が脳裏から離れない。
あんなにも苦しそうに嘆き、叫んでいた悲鳴が鮮明に思い起こされる。
やっぱり、彼女を救いたいから。
「おい、
茜ちゃん見つけたのか?」
「…まだ。
そういえば蒼次は?」
「もう1人の明音ちゃんの
ところに行ってる」
「…そっか」
「お待たせしました~!」
ミスコン会場が盛り上がり、熱気に包まれる。
俺たちはついにミスコンが始まったことを知った。
「第65回、
摂ミスコンを始めます!!」
それから司会者が観客のテンションを高めるためにマイクパフォーマンスを披露する。
そして蒼次が言っていた通り、友だちと2人で出場するという説明がされた。
そしてあっという間に始まってしまった。
曲が華々しく鳴り響く。
そして高校1年生の代表者から順に登場していく。
盛り上がりは最高潮だった。
そして、ついに高校2年生の順番がやって来た。