AKANE -もう一度、逢いたい-
息を切らして舞台裏に着く。
もうステージを終えた2人は少し疲れたみたいだった。
黄色いワンピース姿の彼女は1人の男の後ろについて行く。
俺の方には全く見ようとしない。
だから俺はその後を追った。
そして呼びかけた。
「…その子、
離してくれない?」
茜の腕を引っ張る。
2人がパっと振り返った。
男はよく知っている人物だった。
「なんでお前が…」
「久しぶりだな」
「久しぶりじゃないだろ…」
そう言いながら裕人は俺から茜を取り上げて、肩に腕を回した。
「なんで、
どういうことだよ!?」
目の前にある状況が分からない。
「なんとか言ってくれよ!」
「見える事が真実だ」
裕人はただそれだけを言う。
「お前は黙ってろ!
俺は本人に聞きたいんだ!!」
「………」
それでも何も言わない茜。
裕人の元から逃げようともしない茜。
それが意味するのはどういうことなんだ。
頭の中で嫌な警鐘が鳴り響いていた。