AKANE -もう一度、逢いたい-


ある日。

3人で幼稚園の帰りに公園で遊んでいた。


「2人とも本当に仲良いよな」

「うん!」

「…うん」


いつもなら仲良く笑うのに、貴之だけが今と変わらない笑顔で笑っていた。


「だって俺たち大きくなったら
『けっこん』するんだ」


貴之はただ嬉しそうに話していたよ。


でも、あかねちゃんは悲しそうに言ったんだ。


「…ごめん、たかゆきくん。
『けっこん』できないよ」

「え!?」

「あぁー!!たかゆきのやつ、
ふられてるー!!」


空気の読めなかった俺はからかった。


「…ごめんね」


それだけを言い残してあかねちゃんは駆けて行った。


その後ろ姿を追いかけることも出来なかった。



貴之はあの後いつまでもただ泣いていた。

「そうじのせいだ」って言って。



次の日もいつものように幼稚園に行った。


昨日の今日だから心臓がバクバクしていた。

きっと貴之はもっとそう感じていただろう。


先生はいつも通り笑顔なのに、何かが違って見えた。


「みんなに大事な
お知らせがあります」


みんな不思議そうな顔をして、静かに先生の話に耳をかたむけた。

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