AKANE -もう一度、逢いたい-
・悲しい嘆きの声は届かない
俺にとって全てが衝撃だった。
目の前で何が起こっているのか分からなかった。
茜はミスコンに、明音ちゃんの友人として出場していた。
彼女の姿はいつもと違った。
みつ編みはほどき、ふわふわのパーマ。
目にかかるほどの前髪はななめに流していた。
ダサかったメガネもはずし、ぱっちりメイクをする。
いつもはロングスカートの制服をダサく着ている彼女。
しかし、かわいらしい花柄のワンピースを着こなしていた。
今までと全く違う彼女に戸惑うしかなかったんだ。
俺の問いかけに否定せず、黙ったままの彼女。
否定せずにいたということは肯定だととってもいいだろう。
そして目の前になぜか現れた男。
裕人は俺と同じサッカー選手だ。
中学生の頃に全日本ジュニアで始めて知り合った。
俺と一緒に『次世代のエース』と騒がれたこともある。
今でも良い仲間であり、ライバルだ。
茜とはどういう関係かさっぱり分からない。
けれど頭の中は混乱したまま、知らない間に1日は過ぎて文化祭の幕は閉じた。