AKANE -もう一度、逢いたい-


茜の教室に向かったけれど、今日は来ていないって明音ちゃんが教えてくれた。


明音ちゃんに昨日の一緒に出ていた友達(茜)について聞いてみた。


けれど明音ちゃんは首を横に振るばかりだった。


「ごめん、
何も知らないんだ」

「そっか…」

「私が困っていたら、
一緒に出るよって言ってくれた」

「…そっか」


明音ちゃんは助けられたんだ、姿を変えた茜に。


つまりこの学校で昨日の少女が茜だと知っているのは今のところ俺だけということだった。


そして俺が次に向かおうとしたのは、いずれ話さなくてはならない裕人のところだ。


校舎から飛び出して門を飛び出す。

そこへ後ろから名前を呼ばれた。


「中野さん!」


振り向いた先にいたのは知らない女の子だった。


この学校の女の子ではない。

制服から他校だって分かる。


急いでいた俺は軽く返す。


「悪いけど、
今急いでるから…」

「待って!」


それでも諦めずに訴えてくるのだった。


「待ってください!!」

「悪いけど、ファンなら…」

「茜のことです!」

「…え?」


もう一度振り返ったら、彼女はさらに真剣な面持ちでこっちを向いていた。


片手には自分の学校の新聞記事を握りしめていた。

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