AKANE -もう一度、逢いたい-
「この記事を見ました!」
俺が返すまでもなく、ただ伝えようと必死になっている。
「あなたなら、あなたなら…」
必死に伝えようとしてくれている彼女を見過ごすことは出来ない。
だから俺は何も言わずに彼女を見つめていた。
「あなたなら茜を助けられると
思ったから来ました」
「………」
「私が知っている限りの
彼女の真実を伝えるために」
その真剣な眼差しで俺は思い出した。
そっか。
彼女は昨日会った女子の3人組の一番後ろで恥ずかしそうにしていた子だ。
倒れて気を失った茜に『ごめん』って言葉を残した子だ。
「もしかして詩織さん?」
彼女は恥ずかしそうに頷いた。
俺たちは話すために人目のつかない場所に移動した。
「なんか、
寒いところでごめん」
「いえ、中野さんは
人気者だから仕方ないよ」
なんてお世辞を言う。
そしてゆっくりと彼女は口を開いた。
「茜のことでは何か話を
聞いたことはありますか?」
「小学生の頃の話なら」
「中学生の話は全く
聞いてないんですね?」
「…あぁ」
彼女はそれを聞くと深いため息をついて呟く。
「まだ忘れられないんだね」
風が吹かないから小さな呟きでも大きく響き渡っていた。