AKANE -もう一度、逢いたい-


そのまま軽く空を見て俺の顔を見る。


そのままもう一度、確認するように、約束するように俺に言うのだ。


「全て知っていること言うから
だから茜を助けて下さい」


そして茜の悲しい過去について語り始められた。



~約4年ほど前~


私が河﨑 茜と初めて出逢ったのは中学1年生の春頃だった。


優しくて大人しそうで可愛いらしい子。

容姿も誰にも劣らないほど可愛い子だった。


だから男の子たちはいつも噂をしていた。


『茜ちゃんって、かわいいよね』って。


でも茜はいつも恥ずかしそうだった。


そしてどうしてか、男の子とはほとんど話さなかったんだ。


ただ頷いて、「うん」って返事を返すくらいだった。


そんな彼女が唯一話す男の子が、あの多川 裕人〈タガワ ヒロト〉くん。

ただ1人だけだった。


裕人くんも学校の中ではカッコよかった。


だから女子たちの間ではよく騒がれたりしていた。


茜が2人はどういう関係なのか教えてくれた。


裕人くんは小3の時に茜のアパートの隣に引っ越してきたって言っていた。

いわゆる小学生からの幼なじみだと。


好きは好きだけど、恋人に対する好きじゃないってことも茜は言っていた。


それからね、私と茜はすぐに仲良くなれたの。


きっと大人しくって、人見知りなところが似ていたからなのかもしれないけれど。


友だちを作るのが苦手な茜の女友だちは私1人だけだった。


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