AKANE -もう一度、逢いたい-
そんな話を聞いていた俺は何も言えなかった。
裕人が何もしなかったのは腹が立つ。
腹が立つけれど、同じ時期に俺も遠征に行っていた。
そして何も力になれなかったのは同じだった。
隣に座る茜の友だちは辛い顔をしたまま言葉をつなげた。
「でもね、最終的に
裏切ったのは私だった」
「…?」
「私が茜を裏切ってしまった」
悲しそうに言う隣にいる彼女。
あの時のことを今でも後悔しているようだった。
そのまま、悲しい声で言うのだった。
「そしてね、
彼女の心を砕いてしまった」
優しそうで穏やかな雰囲気の彼女の言葉。
俺は驚きが隠せなかった。
「そんな…」
「じゃあ、
続きを話しましょうか」
破滅は始まり、止まらないということをこの後に知らされる。
そんな話が始まった。
そのまま時は過ぎた。
気が付けば私たちは中学3年生になっていた。
あれからもイジメは止まらず、激しくなる一方だった。
イジメの状況を知っていても見ないフリが増えた。
ついに男子たちも面白がってイジメに加わるようになった。