AKANE -もう一度、逢いたい-
一番味方してくれるはずの先生も何も言わないままだった。
周囲が協力する。
周囲が裕人くんに伝えようともしない。
茜自身も訴えることをしない。
だから裕人くんも、起こっている出来事に気付いていなかった。
最悪の状況がこの時点ですでに出来上がってしまっていたんだ。
ある日のクラスでの一日も、そうだった。
「私たち、
超仲良しだもんねぇ~」
「そうそう!」
イジメの主犯の女の子たちが仲良しのアピールを裕人くんにしていた。
「茜って、超楽しいもんね!」
偽りの笑顔で仲良さそうに接するクラスメイト。
けれど水面下では最悪なことになったままだったのだ。
同時に、私も一緒にイジメの標的にされていた。
いつも茜と同じ苦しみを抱えていた。
気が付けば、味方は誰もいない。
二人で隠れて、こっそりと過ごしてばかりだった。
「ねぇ、ちゃんと
裕人くんに言おうよ」
「…言えない」
「でももう辛いよ」
「……それでも裕人には
どうしても言えない」
「どうして?」
「もう…
心配かけたくないから」
いつも返答は同じ。
過去に一度、言おうと決意したこともあったけれど遮られてしまったこともある。
その後に彼女は私に言ったんだ。
「今度、言おうとしたらあたし死ぬから。すぐにここで自殺するから」
茜のいう言葉、表情に嘘は全くない。
本当に言ってしまいそうな勢いだったから。
だからもっともっと言えなくて、しんどかった。