AKANE -もう一度、逢いたい-
苦しみが続いたある日。
同学年の子たちに私1人だけ呼び出されたことがあった。
そして私だけに聞こえるように言われたんだ。
「苦しいでしょ?」
たった一言だった。
私は首を縦に何度も振った。
彼女たちはもう一度口を開いた。
「じゃあ、私たちの仲間になろうよ」って。
私の表情は凍ってしまった。
何を言われたのかをはっきりと理解してしまったから。
甘いささやきは私の頭の中にスルリと入ってきた。
その言葉を言ってきたのが文化祭で貴之くんに言い寄ってきた女たち。
茜を苦しませた張本人たちだ。
私は彼女たちが茜にしてきたことを全て知っている。
分かった上で、私は頷いた。
悪魔のささやきを聞き入れてしまったんだ。
もう、この辛い環境からさよならしたくて。
これ以上、私を巻き込んで欲しくなくて。
だからイジメられる側からイジメる側に変わった。
そのあとの茜の信じられないというような表情は忘れられない。
ひどく悲しそうだった。
そしてなぜか耳元で茜は「ごめん」と言ったんだ。
話を続ける彼女の両目から大粒の涙がぼろぼろと溢れ出している。
何度も涙を手で拭うけれど溢れ続けている。
「…だから、ごめんなさい」
彼女は何も言えずにいた俺に何度も謝った。
「それからね…」って話をさらに続けた。