AKANE -もう一度、逢いたい-


それからね…

ついに茜の心を粉々にした事件が起こったんだ。


それまでは頑張って耐えていた茜もだいぶ憔悴していて顔色も青白かった。


きっと限界には近かったと思う。

本当に心だけで保っていたと思う。


きっと裕人くんのことだけが支えだったんだよね。



ある日。

男子が悪ふざけで裕人に聞いたことがある。


「河﨑のこと好きなのか?」って。


同調するように周囲も騒ぎ立てる。


その時ちょうど茜はその場にいてなかった。


こんなにもふざけた質問最悪だった。


ただ救いだったのは、この場に茜がいなかったこと。


標的にされている茜がいれば大変なことになるのは明白だったから。


「やっぱり好きなのかよ!?」

「……それは…」

「やっぱりそうなのか?」

「じゃあ両想いじゃん!」


ヒューヒューと盛り上げだした。

女子たちは一斉に嘆いていた。


「裕人、ひどいー」

「あたしも好きなのにー」


冷やかしと嘆きでやかましい教室だった。


そこへ裕人くんは大きな声で叫んだ。


「俺は!」


裕人の怒号と共にクラスは静まり返った。


「俺は……好きじゃない!!」

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