AKANE -もう一度、逢いたい-
それと同時に騒ぎは終わったと思った。
「茜なんか…」
でも運悪くそれを茜は物陰からしっかりと聞いてしまっていた。
そんなこと気付かないまま、裕人くんは言ってしまった。
「茜なんか、関係ない」
教室に響く言葉。
そして茜の目から、一筋の涙がスルリと滑り落ちた。
隣にいる彼女は悲しそうに空を見上げていた。
「きっと裕人くんだけが
支えだったんだよね」
俺もそうだと思う。
一番辛くて、苦しい時に支えたのは裕人だった。
傍にいて心の拠り所だったのも裕人だった。
俺には全くと言っていいほど望みがない。
「…話してくれて
本当にありがとう」
「いえ。でも私は茜の
本当の気持ちが分からない」
「そんなこと…」
「分からないです」
「…俺だって分からないよ」
分かろうと思ってきたけれど、やっぱり分からない。
いつも振り回されてばかりだ。
「そんなことない!」
彼女ははっきりと断言した。
突然過ぎる大声に俺は驚いてしまった。