AKANE -もう一度、逢いたい-


「どうしてはっきりと
言い切れるんだ?」

「だって中野くんの
前だと正直だと思ったから」

「でも今までの茜を
助けてきたのは裕人だ」


そうだよ。

茜が一番つらい時に、傍にいて支えてきたのは裕人だ。


「そうだけど、
それは過去話です」

「過去の話じゃない、もう裕人が戻ってきたから俺には関係ない」



「違います!
今は違うと思うんです」

「…どうして?」

「この記事を見て、今の茜は今まで以上に傷ついていると思いました」

「だから、これからは
裕人が、助けてくれるから」

「本当にそうかな」

「え?」

「茜はいつも
強がっちゃうから」


そうだ。

茜はいつもどこかで自分を隠して、こらえていた。


誰にも頼らないための手段だった。


「昨日の言葉
覚えていますか?」

「昨日の言葉?」

「茜が最後に
倒れる時に言った言葉です」

「…あぁ、覚えてるよ」


忘れられるわけないだろ。

あんなにも悲しい嘆きの言葉…。


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