AKANE -もう一度、逢いたい-


***


貴之はちゃんとした状況や理由を話してくれた。


最初は俺も驚いた。

けれど自分自身全てがつながって腑に落ちた。


幼い頃からの親友として信じていて良かった。


「俺が愛しているのは、
茜だけだよ」

というその言葉を。


だから貴之を信じられたんだ。



あのあと笹見坂高校にはギリギリ勝利した。

そして予想通り次の対戦相手は長滝西高校に決まった。


俺たちが訪れていた会場でたまたま出くわした。


そして目が合うと裕人は貴之に近づいて行く。

そして宣戦布告して行った。


「お前には渡さない」


貴之の表情も険しく変わる。

横にいた俺も顔が険しくなった。


1人の女を賭けて、戦うことを決意したのだと。


俺は貴之の肩をポンと叩く。


「負けられないな」

「ああ」

「今から、練習だな」


サッカーはあくまでチームプレー。

俺はみんなに伝えるべきだって言った。

けれど貴之は横に首を振った。


「そのままの摂高サッカーが
一番良いプレーをするから」


貴之はそう言っていた。


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