AKANE -もう一度、逢いたい-
「そんなこと言うなよ!」
「何、急にキレてんのよ」
「そりゃ、
キレるに決まってるだろ」
「なんでよ」
「貴之が、どんな気持ちか
分かっていないだろ!」
「…は?」
彼女は俺があまりにも感情的に言うから尋ねてきた。
「貴之は裕人と
戦うって決めたんだよ」
彼女の目が開く。
それだけで驚いていると分かってしまった。
「あの記事って
本当のことだったんだ」
俺は頷いた。
彼女は俺にかすかに聞こえるぐらいの声でバカと呟いていた。
「お前も好きだったサッカーで
勝負を決めるって言ってた」
目頭が熱くて、感情がむき出しだった。
茜は俺に真面目に訪ねてくる。
「蒼次。
前にも言ってたよね」
「え?」
「『貴之がいつまでも変わらない笑顔でプレーしてるのはどうしてだと思う?』って」
そうだ。
俺は練習試合の帰りに言ったんだ。
貴之は昔から変わらない笑顔でプレーをする。
「理由は私だって言ったよね」
「ああ、あのことか」
「教えてよ」
「本当に思い出せない?」
「うん」
全く覚えていないようだ。