AKANE -もう一度、逢いたい-
「俺は貴之から聞いた話だ」
そして話を続けた。
「貴之がここ摂弥高校に来たのは、お前がここに来ると信じていたからだ」
「は?」
「お前のお父さんは、この学校の有名なサッカー選手だったんだろ?」
茜の顔が少し強張っていた。
それは肯定だと思う。
「10年前に茜が楽しそうに自慢していたって貴之が言ってた」
「そんなこと、
言った覚えない」
「そして、お父さんと
同じ学校に行くって」
「………」
「貴之は茜と
約束したって言っていた」
「それは、
結婚の約束のこと?」
「それもあったけど違う」
「何?」
「この学校で、お父さんと
同じエースになる」
茜の目が信じられないと見開いていった。
「だから今ここにいる。
約束を守るために」
茜と逢えなくなってからも、きっとまた逢えると信じていた。
ここは約束した場所だからって。
俺もそんな昔の約束、忘れているだろうって言った。
「そして出逢ったんだ」
この学校に茜がいるなんて信じられなかった。
10年前に言っていたことを覚えてる訳がない。
小さいときの約束なんてそんなものだろうって。
でも今、茜はここにいる。