AKANE -もう一度、逢いたい-


「嘘だ」

「嘘じゃない!」

「嘘だ!嘘だ!!」


茜は自分の頭を抱えだした。

頭の中がごちゃごちゃになっているのだろう。


荒い息も上がる。

俺は傍に行き、背中を優しくさすった。


しかし茜はその手を振り払って、おかしく嗤っていた。


「何よ、それ」


茜が考えていることが、さっぱり分からない。


不幸な境遇だったことは彼女がかわいそうだと思う。


けれど、どの事件が彼女を変えてしまったのか。


それとも全ての事件が徐々に変えてしまったのか。


分からない。

俺が気にかけることが出来るのは貴之だけだった。


これ以上、もう茜のことで迷わなくていいように。


「俺はお前たち3人のことに
口出しできない」


茜はじっと俺を見上げる。


「だけど、お前は違うだろ?」

「…そうね」

「全部お前の言葉で決まってくる。だから答えを出して欲しい」


俺は必死に頭を下げた。


「でもバカなことを
始めにしたのはあの2人」


彼女は冷酷なまでに嗤った。


「あたしにはどうなろうと
全く関係はない」


そして、その場を後にしようと歩を進める。


俺が「待てよ」と叫んでも無視していった。

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