AKANE -もう一度、逢いたい-
そして最近になって、また同じ夢をみる。
毎日同じ夢を繰り返してみる。
真っ暗の中を1人のあたしが歩く。
見たくないもの。
聞きたくない言葉がたくさん聞こえてやかましい。
見たくないから目を閉じる。
聞きたくないから耳をふさぐ。
真っ暗にしてみても、脳裏に何もかも呼び起された。
記憶した脳だけが正直に真実を訴えてくるんだ。
ただ昔と違うのは、涙が流れないこと。
そう、枯れてしまったから。
「そっか。
もう戻れないか」
あたしは涙の代わりに嗤いがこぼれた。
「そういえば、
今日だったっけ」
そう、今日は父親があたしを捨てて出て行った日。
最初に心に傷がついた日だ。
カレンダーを確認する。
「どうして、
今日なのかなぁ…」
今日はサッカーの試合当日だ。