AKANE -もう一度、逢いたい-


***


雲1つない快晴日和。

真っ青な空が一面に広がっていた。


俺たちはこの試合に勝たなければ、全国大会に進むことはできない。


そして茜に近づくことも出来なくなる。


数日前に茜に試合を見に来てほしいと言った。


でも彼女は来てくれないだろう。


たくさんの人で騒がしい観客席。

まだ観客席の中に彼女の姿は見えない。

俺が見間違うわけもない。

そして敵である裕人も。


「茜。来ないのか」

「裕人」

「来ても、来なくても
俺たちの勝敗はこれで決まる」

「忘れてない」

「この試合に勝ったら
俺は茜に告白する」


裕人の言葉に手加減なしだと伝わってくる。

俺も同じように答えた。


みんなには知らせていない。

蒼次にしか話していない。


これは俺の勝負だから。


「俺も負けない」


2人の眼差しがかち合う。

同じジュニア代表で、お互いの学校のエース。

出逢った時からライバルだった2人。


まさか好きになった女までライバルだなんてイタズラだ。


でも負けられない。

お互いのプライドに誓って負けられない。


2人はその場を後にした。

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