AKANE -もう一度、逢いたい-
涙を拭って、もう一度ドアの前に立ち大きく深呼吸する。
心を落ち着かせて、大きな声で言った。
「点数決められた!」
そして、もう一度、大きく息を吸って怒鳴る。
「どうなってもしらないよ!
ここから出てきてよ!」
それでも返答はない。
「茜ちゃんじゃなきゃ
ダメなんだよ!!」
大きな声は近所にも聞こえていた。
「出てきてーーー!!」
***
部屋の中にいたあたしは小さく引きこもっていた。
さっきから明音の声がやかましい。
迷惑だった。
あたしは行かないって決めていた。
あたしの気持ちを考えないで、勝手なことをして巻き込まれるなんて最悪だ。
すると、さっきまで外で泣いていた明音が急に大きな声で叫んだ。
「点数決められた!」
その言葉に鼓動が跳ねた。
どうして跳ねたのか分からない。
裕人が決めたことの嬉しさからか、貴之が負けることの悲しさからか。
どっちも関係ないのに。
「出てきてーーー!!」
近所なんて関係なしに叫んでいた。