AKANE -もう一度、逢いたい-
胸が痛い。
どうしていつもあたしのことでこんなにも関わってくれるのだろう。
あたしなんか気にしないで欲しいのに。
「茜ちゃん!」
あたしは気が付けばドアを開けていた。
名前を言われてから我に返ったんだ。
「行くつもりはないけど、
その…えっと……」
「そんなのいいから、行こ?」
そして腕をつかまれて走り出す。
あたしは急でコケそうになるのをこらえて走り出した。
「その、
文句言うつもりで…」
「分かった分かった」
明音はすごく嬉しそうだった。
***
試合は経過するばかり。
さっき後半に突入したところだ。
前半に裕人に1点先制された。
あれから貴之は気持ちを切り替えた。
チームメイトを本当の意味で信頼すると。
それが最高の力に変わるって信じて。
しかし相手はさすがに強い。
なかなか点数を決めさせてくれなかった。
チームメイトも疲労を感じていた。
だからどこかで流れを変えたかった。
ちらっと観客席に目を向ける。
まだ彼女は来ていないようだった。