AKANE -もう一度、逢いたい-
「そのまま行け!!」
それでも蒼次は叫ぶ。
「ゴールを決めろ!!!」
俺はさらに風に乗った。
運良く、いい風向きだ。
また1人、1人と抜き去っていく。
あの男は守るために全力で走ってくるのが、背中から気迫で伝わってくる。
あいつは絶対に守りに来る!
「それでも、負けねぇ」
歯を食いしばって渾身の一撃を放った。
後ろから裕人がボールを奪おうと突っ込んでくる。
前に立ちはだかるゴールキーパーは大きく体を広げていた。
放たれたボールは、ただまっすぐに向かっていく。
スピードを乗せて。
そして…
「ゴーーーール!!!」
うわあああああ!!
会場が大きな歓声に包まれていた。
シュートが決まり、これでやっと追いついた。
チームメイトがよくやったと頭を叩いてくるが少し痛い。
「さすが貴之!」
「このまま行くぞ!!」
そして試合は再開される。
一瞬、裕人と目があった。
これ以上、点は取らせない。
気迫で伝わってくるぐらいだ。
俺もこのまま引き返すつもりはない。
試合は今から始まるんだ。