AKANE -もう一度、逢いたい-


***


明音に連れられたあたしたちは、やっと会場に着いた。


運動音痴のあたしにとって、ここまでの距離はキツかった。


そしてやっとグラウンドに着く。


息が切れていたのを少しでも整えようとする2人。


階段をのぼって、ゆっくりと顔を上げた。


グラウンドでは摂弥高校の選手が泣き叫んでいた。


「え?」


隣で息を整える明音が困惑していた。


あたしは、ゆっくりと顔をスコアボードに向けた。


そして納得してしまった。


「そっか…」

「え、どういうこと?」


明音は本当に分かっていないみたいだった。


「あのね…」

「明音!!」


2人同時に振り向く。

そこには確か奈緒という女がいた。


やっぱりキツく睨まれてしまった。


「遅い!遅すぎる!!」

「だって…」

「だってじゃない!
負けちゃったよ!!」


明音はその言葉にぼろぼろと涙をこぼした。


ぼろぼろとこぼれて、声にもならないみたいだった。

とてもキレイな涙だ。

< 153 / 311 >

この作品をシェア

pagetop