AKANE -もう一度、逢いたい-
あたしは横から口をはさむ。
「試合のこと、
詳しく話して欲しい」
少し戸惑っていたみたいだったけれど、明音がいたからか話してくれた。
あたしたちはその試合の経過に頷きながら、聞くことしか出来なかった。
前半に裕人が先制点を決めた。
後半に入って貴之が1人ゴールに向かって行き、点数を入れた。
そのあとはお互いに譲らない様子で白熱していた。
しかし後半40分。
相手のチームが点数を入れた。
決めたのは裕人じゃなかったみたいだけど決められたらしい。
そしてそのままゲームセット。
2-1だった。
「そっか」
「もう、このチームでは…」
明音は横で何度も涙をふく。
それでも溢れてくる涙は止まらない。
明音はこう言いたいのだろう。
この大会で負けてしまったら3年生は引退だ。
このチームで出来るのは終わってしまった。
だから彼女は悲しみ、涙を流すのだろう。
純真な涙がポタポタと落ちていた。
勝手に始めた、男2人の決着がついてしまった。
あたしが関連するのことなのに、あたしは全く涙が流れなかった。
(…やっぱり)
そう思うと、なぜか嗤えた。
心が歪んでしまったあたしに嗤えてしまった。