AKANE -もう一度、逢いたい-
試合の次の日。
俺はやっぱり気落ちしていた。
「おっす!」
後ろから陽平が挨拶してくる。
しかし俺は何も言い返さなかった。
「朝から元気ないな~。次の大会に向けて頑張る時期だろ!?」
「…分かってるよ!!」
「そんなに
怒らなくてもいいだろ?」
「…あぁ」
イライラというか、辛いというか。
気持ちがグチャグチャだ。
そこに後ろから蒼次の声が聞こえた。
「おう」
「蒼次!なんか
貴之が怒ってんだけど…」
「えっと、陽平、
先に行こうか」
そして無理やりに陽平を連れて行ってくれた。
きっと俺の感情を察してくれたのだろう。
蒼次は唯一、関係を知っている人だから。
ちょうどそこに茜が通り過ぎていく。
いつもなら挨拶するのに目線を外して気付かないフリをした。
心が痛かった。
何も出来ないってこともあるけれど、それだけじゃない。
やっぱりチクンと痛いんだ。