AKANE -もう一度、逢いたい-
「貴之くん、おはよ」
明音ちゃんが明るく挨拶してくれる。
「おはよう」
「なんか、辛そうだね」
「え!?」
動揺のあまり、驚いてしまった。
彼女には何も話していないのに、どうして察しようとしてくれるのだろう。
「なんか
顔色悪そうだったから」
「そんなに?」
「そんなに。だから
ゆっくり休んだ方がいいよ」
「…あぁ」
「あのね、あとで話したいことがあるんだけどいい?」
「…お、おう」
「じゃあ、あとでね!」
彼女は優しそうに笑う。
そして手を振って走って行った。
そして俺は大きく溜息をついた。
***
あの試合の後に、茜は裕人に呼び出されていた。
呼び出されたのは人気のない場所だった。
「茜、
言いたいことがあるんだ」
「…聞かない」
勝手すぎる。
あたしのことなんて全く考えない。
その身勝手さに腹が立っていた。