AKANE -もう一度、逢いたい-
「ちゃんと聞いて欲しい」
「聞きたくなんて…」
「好きだよ」
裕人は優しく、甘く告げる。
「聞きたくない」
「好きだ。ずっと、
これからも、一生…」
そんなこと言わないでよ。
あたしは彼を避けて耳をおさえる。
しかし裕人はあたしの両腕をガシッと掴んで離さない。
「俺が一生守るから!」
真剣な表情をしていた。
昔、あたしを助けてくれた時よりも強い眼差しだった。
でも今のあたしには眩しすぎるんだ。
「お願い、
そんなこと言わないで」
彼の腕から逃げて顔をそらす。
「何度でも俺は言うよ。
ちゃんと聞いてくれるまで」
あたしは頭を横に振る。
頑なに拒絶した。
その瞬間、何かが駆け巡った。
たくさんのことが駆け巡る。
グルグルグルグルと。
息が辛くなるのを必死に抑える。
またこの悲しい記憶がよみがえってきて、止まらない。
「いきなり
付き合おうなんて言わない」
「…う、うん」
汗がジワリとにじんでいた。