AKANE -もう一度、逢いたい-



そんなことがあった次の日。

今の茜は心も体も落ち着いていた。


あの時は仕方なく約束をしてしまった。


あとあと後悔してしまった約束は、おぼろげに覚えている記憶だった。


「…はぁ」


重く深い、ため息がこぼれる。


なぜなら今度の日曜日。

その日は忘れもしない、あの日。


「その日って、確か…」


そう言って、はぐらかしてみるも分かっていた。


あの事件が起こったのは、あたしが一番心に痛い傷がついた日だから。


一応スケジュール帳を確認する。


「…やっぱりそうだよね」


スケジュール帳には忘れないようにちゃんと記されていた。


「どうして、
かぶってしまうのかな」


今度の日曜日は波乱が起こりそうだ。


「茜ちゃん!!」


あたしは振り返る。

そこにいたのは明音だった。


そして昨日のことを思い返していた。


『貴之くんを愛してる』


彼女ははっきりとあたしに言った。


今までは憧れだったけれど気持ちが変わった。

だから夏に言った約束を取り消すと。


本当は勝手にしたらいいと思っていた。


でも気持ちが少しざわついていたんだ。

< 162 / 311 >

この作品をシェア

pagetop