AKANE -もう一度、逢いたい-


***


明音は茜と別れたあと、1人で自教室に向かった。


教室の隅っこには茜が座っていて一度も目を合わそうとしてくれなかった。


茜が気まずそうにしているのは分かっていた。


でもあたしも譲れない。

そのまま時は過ぎて、あっという間に放課後がやって来た。


私は終礼が終わるとすぐに立ち上がり、茜のところに向かった。


「今から伝えてくるから」


それだけを告げるとすぐに教室を後にした。


茜がどんな表情をしていたとか分からない。


もしかしたら何か言いかけたかもしれないけど、聞かなかった。

聞く余裕なんてなかった。


これは私にとって勝負でもあるから。


でもね、正々堂々としていたいの。

茜は大事な友達だから。


だからはっきりと言っておきたいと思ったの。


気が付けば貴之くんの教室前に到着していた。

鼓動がさっきより早く動いていた。


「あの…」

「あれ~?
明音ちゃんじゃん!!」


陽平くんは私に飛びついて来た。


「あの、離してください!!」

「陽平やめてあげなって」


そう言って仲裁してくれたのは蒼次くんだった。

しかし陽平くんは残念そうにしていた。


< 165 / 311 >

この作品をシェア

pagetop