AKANE -もう一度、逢いたい-


「貴之くんが好きです」


私の言葉に貴之くんは戸惑っているみたいだった。


突然こんなこと言われたら、戸惑っても仕方ないかもだけど。


「えっと…」

「あの、返事はまだいいから」

「…え?」

「答えはまだいらないから」

「知ってると思うけど、
好きな人がいて…」

「だから言わないで!」


気が付けば大きな声で遮っていた。


誰が好きかなんて分かってるよ。


でも、まだ想い続けるというの?

報われない想いをまだ抱き続けるの?


「私を見て欲しい」

「……」


彼は顔を真っ赤にして戸惑っているようだった。


「好きな人の代わりで構わない。忘れるためで構わない」

「そんなこと言われても…」

「だから、もっと私を見て」


彼は何も言えないほどに驚いていた。


私はもう一度、勇気をふりしぼった。


「日曜日にデートして」

「日曜日?」

「うん、私とデートして。それからでいいから、私とのことを考えて」

「えっと…」

「それに事情を知っている私の方が他の人よりも理解できると思うよ?」

「…分かった」


彼は優しく了解してくれた。


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