AKANE -もう一度、逢いたい-
***
こんなところで出会ってしまうなんて。
神様のイタズラなのか。
それとも俺たちの行いが悪かったからなのか。
「茜…」
貴之は彼女の名を思わずつぶやいていた。
今日は日曜日。
貴之は明音ちゃんにデートに誘われていた。
その誘いでやって来たのは隣町の水族館だった。
茜は裕人の腕をしっかりと握りしめていた。
胸が苦しくなって、二人を見たくなかった。
けれどこれが現実なんだ。
「貴之くん、行こう」
明音ちゃんは優しく言って、腕をひっぱってくれる。
俺は動けないぐらい固まってしまっていた。
「…貴之くん、もう辛い
思いはしなくていいからね」
「…茜も行こうか」
裕人と茜はそのまま横を通り過ぎようとしていた。
俺の横を茜が通り過ぎる。
顔は彼女を追っていた。
瞬間だった。
茜はすぐ隣でガクリと膝から崩れ落ちた。
「茜!!」