AKANE -もう一度、逢いたい-
そして聞こえるぐらい大きな声でゆっくりと話しかけていた。
「あなたはひとりじゃないよ。
ほら、みんないてるでしょ?」
「ハァハァハァハァハァハァ…」
「悲しくないよ。
ひとりじゃないんだからね」
女性は、何度も何度も『ひとりじゃない』と悟らせていた。
次第に呼吸はゆっくりとおさまり始めていた。
痺れもだいぶおさまってきたようだった。
でも茜はぐったりとして額から汗が流れていた。
「あの…」
俺は助けてくれた女性に声を掛けると、すぐに罵倒された。
「貴之くんって
本当にバカなのね!」
「え!?」
「茜がどうしてこんなことに
なっているのか分からない?」
「そんなこと言われても…」
「まぁ、いいわ。あなたは
諦めただけですからね」
知らない女の人にそんなこと言われる筋合いないだろう。
その言葉が心から読みとられなのか女性は言う。
「私が誰か、
まだ分からない?」
そう言って、女性は黒縁の眼鏡をかける。
見覚えのある顔だった。
「嘘だろ…」
そこにいたのは学校の保健の先生だった。
明音ちゃんも驚いているようだった。