AKANE -もう一度、逢いたい-


「やっぱり、話す時が
来てしまったみたいね」

「何を?」

「河﨑 茜について」


俺たち3人は固まった。


この保健の先生は今さら何を言いたいというのか。


『河崎 茜について』なんて話は、もう聞いた話だった。


…そのはずだった。


茜は幼い頃に俺と別れた。

原因は両親の離婚。


そして母親はキャバクラで働き、潰れていった。

そして男を家によく連れ込んでいた。


襲われそうになったのをを助けたのは裕人だった。


その後も茜は辛い人生を生きてきた。


イジメに遭ったり、親友に裏切られたり。

好きだった裕人にも『関係ない』と言われてしまったり…。


だから裕人が傍にいれば、もう大丈夫だと思っていた。


俺には全く関係ない。

関係ないし、必要でもない。


俺には彼女を救うことが出来ないと、分かっていたから。


すると、保健の先生は急に俺たちに向けて声をかけた。


「今までにも
こんなことなかった?」


俺は茜の様子を何度も思い返した。


そう言えば、文化祭の時に一度こんなことがあった。


そう、イジメられていた友人に会ったとき。


あとは明音ちゃんに一度聞いたっけ。


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