AKANE -もう一度、逢いたい-


「今までに
何度かありました。裕人は?」

「俺は……知らなかった」


裕人はうつむいていた。


「あんたたち2人は本当に
何も気づいていなかったのね」

「え?」

「茜は高2になってからほぼ毎日、過呼吸を起こしていたわ」


保健の先生の言葉に俺は何も言えず、絶句することしか出来なかった。


「文化祭あたりからは
気持ちはもっと不安定だったわ」

「………」

「最近は特に、
発作を起こしていたわ」


隣でたたずむ裕人も何も言えないようだった。


俺も裕人も何も分かっていなかった。


彼女の心の痛みに気付いてあげられていなかったんだ。


彼女は1人でいつも苦しんでいた。


じゃあ、一体何で?

イジメ?

虐待?

別れ?


何が原因だ?


「茜は…何に…
苦しんでいたんですか?」


俺はおそるおそる聞く。

すると裕人は遮った。


「貴之はもう行け。
俺が話を聞く」

「…嫌だ」

「お前はもう関わらないって
決めた約束だろ!」


2人の口論は激しさを増していった。


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