AKANE -もう一度、逢いたい-


「でも
付き合ってないんだって!」

「じゃあ
貴之くんの片想いかぁ」


あたしは顔が熱くなった。

全身真っ赤になるぐらい熱かった。


そして何よりあたしのことを忘れてなかったことが嬉しかった。


そこに1人の女子高生が近づいてきた。


「それ、嘘だよ」

「え?」

「貴之くんの話。なんか、
はっきりと言ったらしいよ」

「なんて?」

「『あかねって誰』って」


彼女の言葉にあたしは絶句して、立っているのがやっとだった。


「なんだぁ。
やっぱり仮想の話かぁ」

「そうだよね~。幼なじみがってドラマじゃないんだからねー」

「うんうん!」

「やっぱ、ありえないよねー」


あたしは落胆した。


やっぱりそうだよね。

会いに行こうかな、なんて考えたあたしはバカだ。


あたしのことなんて、もう覚えていないに決まっているのにね。


結婚しようって約束したのも、幼くて遠い記憶の話。



そして、今のあたしは醜くて、ブスで、会う資格なんてないんだ。


それに学校でも、みんなに言われたじゃない。


『ブサイク』

『死ね』

『キモい』


日常茶飯事の言葉に毎日傷ついて、友だちも同じ目に遭わせて傷つけてばかりで。

あたしは汚くて醜い。

< 180 / 311 >

この作品をシェア

pagetop