AKANE -もう一度、逢いたい-
「近寄らないで!
ほっといて!!」
茜は牙を向けて、俺をにらむ。
「聞いたなら分かるでしょ?
あなたが憎い、大嫌いなの!」
「本当に悪かった」
「あたしが変わったのは
あなたのせいだよ!」
彼女は残酷に嗤っていた。
俺は茜にそんな嗤い方をして欲しかったんじゃない。
〝笑って〟欲しかったんだ。
昔と変わらない優しい眼差しで。
「もうどうしたらいいのか分からない!辛くて、苦しくて死んでしまいたいのよ!」
「そんなこと言うな!」
「貴之なんかが言わないで!」
俺は無意識に茜を力強く抱きしめていた。
「離して!」
「離さない!」
「離してってば!」
「離さない!!」
茜の残酷な過去。
そして茜の父親の死。
そして俺の非道な言葉…。
全てが彼女を狂わせて、全てが彼女を変えていった。
「もう嫌だ!もう辛い!
分からないの!」
「分からなくない!
茜は茜だろ?」
「あたしは、あたし?」
「茜は昔から何も変わらない。
優しいって知ってる」
「あたしは変わったの!」
変わらない方がいいって認めてしまったら、今のあたしは存在しない。