AKANE -もう一度、逢いたい-


「…あたし、河崎だから」


その彼女はその場から堂々と人垣を分けて教室から出て行こうとする。


「待てよ!!!」


怒号が鳴り響く。


振り返った彼女はたった一言。


「うるさいので失礼します」


それだけを言い放って教室を後にした。


教室ではあまりの出来事に静まり返っていた。


でも俺はその場で立ち止まってる余裕はなくて追いかけた。


あんなにも冷え切った態度は俺の知ってる“あかね”とは、かけ離れている。


それでも追いかけた。

なぜか夢中に追いかけたくなったから。


逃げ切れると思うなよ。

俺はサッカー部のエースだ。

昔から運動音痴のお前になんて負けない。



無我夢中で追いかけた。

普通ならすぐに捕まえられる。


だけどファンとか野次馬とかが多すぎてなかなか追いつかない。



気付いたらあんまり人が近づかない奥にある視聴覚教室まで来ていた。


もう逃げ場の無い教室。

俺はゆっくりとそいつに歩み寄った。


「ついて来ないで!!」

「俺は追いかけるよ」

「ストーカー!!!」


好きな女に、こんなこと言われるとやっぱり心にグサッとくるんだ。


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