AKANE -もう一度、逢いたい-
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さっき振られたばかりの私。
明音は1人で夜道をとぼとぼと歩き進める。
さっきまで我慢していたのに。
頑張って明るく振舞っていたのに。
角を曲がって別れると、自然に涙が流れていた。
ぼろぼろとこぼれて止まらない。
「あれ…なんで…?」
悲しくないって、辛くないって言い聞かせているのに。
これで良かったって分かっているのに。
なのに、痛いよ。
こんなにも真剣だったって今、気付いたんだね。
「なんだろ…
涙と笑いが止まらないやぁ…」
乾いた笑いがより悲しい。
辛さがにじんだ。
「明音ちゃん!」
急に呼ばれて急いで涙をふく。
そして呼ばれた方を見るが、誰が呼んでいるのか分からなかった。
「あれ…?」
何度も涙を拭う。
相手はどんどんと明音に近づいてくる。
でも涙でぼやけて分からないままだ。
「明音ちゃん!!」
いきなり抱きしめられた私。
何が起こったのか分からない。
ただ分かることは、私よりも大きな人だということだった。