AKANE -もう一度、逢いたい-


***


さっき振られたばかりの私。

明音は1人で夜道をとぼとぼと歩き進める。


さっきまで我慢していたのに。

頑張って明るく振舞っていたのに。


角を曲がって別れると、自然に涙が流れていた。

ぼろぼろとこぼれて止まらない。


「あれ…なんで…?」


悲しくないって、辛くないって言い聞かせているのに。

これで良かったって分かっているのに。


なのに、痛いよ。


こんなにも真剣だったって今、気付いたんだね。


「なんだろ…
涙と笑いが止まらないやぁ…」


乾いた笑いがより悲しい。

辛さがにじんだ。


「明音ちゃん!」


急に呼ばれて急いで涙をふく。


そして呼ばれた方を見るが、誰が呼んでいるのか分からなかった。


「あれ…?」


何度も涙を拭う。

相手はどんどんと明音に近づいてくる。


でも涙でぼやけて分からないままだ。


「明音ちゃん!!」


いきなり抱きしめられた私。

何が起こったのか分からない。


ただ分かることは、私よりも大きな人だということだった。

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