AKANE -もう一度、逢いたい-
「今、これ言うのって
卑怯だってわかってる」
「………」
「でも今日ここに来たのは、どうしても今日、明音ちゃんに言いたいと思ったからなんだ」
「…うん」
彼の表情はすごく申し訳なさそうで、でも真剣だった。
「俺、好きだ」
脳内にズカンと言葉が入って来たけれど、理解できなかった。
「………」
「返事はいらない。俺の気持ちを言いたかっただけだから」
「………」
硬直してしまっていた私。
何も出来ずに、ただ呆然としていた。
「じゃあ、俺帰るから」
蒼次くんはそう言って、帰って行った。
私は何が起こったのか分からなかった。
ただ家の前で呆然と立ち尽くす。
そして意味を理解するまで時間がかかった。
「嘘…」
その言葉しか出て来なかった。
そして蒼次くんの真剣な表情が頭の中に残っていた。
だって、信じられなかったの。
あの蒼次くんに告白されるなんて。