AKANE -もう一度、逢いたい-
「裕人。
急に呼び出してごめん」
「いや、俺も
話したいことがあったし」
そう言って、あたしの隣に座る。
こうやって、ちゃんと話すのはいつ以来だろう。
心のうちにある正直なことを話すのってこんなにも緊張するんだ。
ドキドキしていた。
「実は、あたし…」
「…うん」
「あたし、
裕人の隣にはいられない」
「…そっか」
「ごめん。
でも裕人には感謝してるよ」
そうだよ。
いつだって辛い時に一番支えてくれたのは彼だった。
助け出してくれたのも彼。
隣にいてくれたのも彼だった。
あたしは不器用だ。
どう言ったらいいのか分からなくて、単刀直入に伝えてしまう。
「…勝手でごめん」
「俺さ、茜が言いたいことは
だいたい分かってた」
「え?」
思わず、聞き返してしまった。
彼は苦笑いをして、昔のように優しく言うんだ。
「俺さ、茜が過呼吸を起こしていたこと全く知らなかった」
「………」
「茜の気持ちを考えてたけど、それはつもりだったって、あとで気付いたんだ」
「………」
「茜を助ける事が出来るのは
俺じゃないんだって分かった」