AKANE -もう一度、逢いたい-
「蒼次の奴、最悪だ」
「違うの!」
「何が?」
「私、蒼次くんに言われてその通りだって思った。ちゃんと分かってたんだ」
そうよ。
本当は分かっていた。
今、目の前にいる茜には敵わないという事を。
どんなにあがいても貴之くんの心の中には茜しかいないって事を。
そして茜だけに向けられる笑顔を好きになったと気付いたんだ。
「蒼次くんに甘えるのは間違ってた」
「そっか…」
「今まで助けてくれたように、また助けてくれると思ってしまっていたんだ」
優しい蒼次くんなら、また手を差し伸べてくれる。
今までのように、何もなかったように笑ってくれる。
今思うと、あれは親切だけではなかった。
愛情を注いでくれていたんでしょ。
あなたの優しさはいつも自然なままだった。
だからつい心を許してしまったんだと思うんだ。
そして、その思いに甘えてしまっていた私がいけなかったんだ。
「私が甘かった!!」
「でも蒼次の言い方も…」
「全部、私を
思っての言い方だよ!!」
絶対にそうに決まっている。
お互い一方通行の恋をしていたから分かるんだよ。
相手の笑顔が大切だからなんだよね。