AKANE -もう一度、逢いたい-


「正直に
思ったこと言ってみな」

「いきなりどうしたの?」

「アドバイスは無理だけど、
聞くぐらいなら出来る」


茜は恥ずかしそうに呟いた。


なぜかギュッとしたくなった。


けれどこらえた。


「それに言葉にした方が明音も
気持ちの整理が出来ると思う」

「そうだね」


そしてポツリポツリと話し始めた。


話せば話すほど、蒼次くんの優しさを思い出す。


いつも周りを見て、気にかけてくれていたよね。


迷子にならないように一緒に向かってくれたこと。


貴之くんのことで泣いていた私をいつも察して慰めてくれていたこと。


今思うと、辛い事だと思う。


にもかかわらず、何も言わずに耳を傾けてくれていたよね。


「いつも味方してくれていた」

「うん」

「いつも傍にいてくれた」

「うん」

「いつも見守ってくれていた」

「うん」

「でもね、
気持ちが分からないよ」

「………」

それはきっと好きだけど、
恋愛の方じゃないと思う…多分」

「…そっか」

「…うん」

< 225 / 311 >

この作品をシェア

pagetop