AKANE -もう一度、逢いたい-
・近づく別れの足跡
***
ここはどこだろう。
妙に汗ばんで、気持ち悪い。
「…ねぇねぇ」
誰かがあたしを呼んでいる。
きょろきょろするけれど、その姿はどこにあるのか分からない。
「ねぇってば!」
それでもずっとあたしを呼ぶ女の子。
この声は確かに明音だ。
すると彼女はあたしに話しかけてきた。
「ねぇ渡さないの?」
渡すって何を?
「もうすぐ
バレンタインだよ!!」
それってチョコを渡せって言ってる?
「それから
早く言っちゃいなよ」
「…何を?」
「とぼけないの!」
何もとぼけてない。
何も言う事なんてないよ。
「だから、
好きって言おうよ!!」
あ、そのことか。
何度も何度も言うけれど…
「…言わないってば!!」
はあはあ
あたしはガバッとベッドから飛び起きた。