AKANE -もう一度、逢いたい-
・灯は消えそうなほど儚い
あの事件から早くも一ヶ月を過ぎようとしていた。
茜はあのバレンタインの日から一度も学校に来ることはなかったんだ。
私が事件のことを知ったのはあの事件当日の夜だった。
***
明音はテレビを見ていたらケータイが鳴った。
かけてきた相手は蒼次くんだった。
蒼次くんは電話越しにでも分かるくらい動揺していて、息が切れていた。
そして蒼次くんが発した言葉が信じられなかったんだ。
「貴之が…
死ぬかもしれない…」
「!?」
電話越しでも分かるぐらい蒼次くんの言葉は本当だと思った。
けれど嘘だって思いたかった。
ただのかすり傷に違いないって。
私はすぐに病院に向かった。
どういう状況か。
なぜ死にそうなのか分からないけれど急いで向かった。
病院に着くと蒼次くんはたった1人で集中治療室の前でたたずんでいた。
まだ手術中だという赤いランプがともっていた。