AKANE -もう一度、逢いたい-


手術中の赤いランプが消える。


それは貴之くんの手術が終わった合図だった。



茜の祈りが届いたのか分からない。


でも貴之くんは死ぬところまではいかなかった。



しかしICUにいる貴之は今も危ない状態だった。


意識はなく、呼吸も機械でなんとかしている状態だ。



意識は戻らないかもしれない。


一生このままということもあり得る。



貴之は死の間際に今もいる。



***



貴之がなんとか一命を取り留めてから一ヶ月が過ぎていた。


貴之の状態は今も変わらず、意識はなく、呼吸も機械でつないでいる状態だ。



あの日、俺、蒼次はすぐに病院に駆け付けた。


病院につくと、心あらずの茜がいるだけで、何があったのか理解できなかった。



何より、貴之が事故に遭ったなんて信じられなかった。


どうしても信じられなかったんだ。



けれどICUで眠る貴之を見て現実だと感じるしかできなかった。


貴之にはたくさんの管が繋がれていて、さっきまで一緒に部活をしていたとは思えない姿だった。


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