AKANE -もう一度、逢いたい-
『茜が貴之を嫌うあまりに呼び出して、わざと事故に遭わせた。』
そんな噂が後をたたない。
貴之にとって大事な試合が目前にあった。
だから失脚させるために事故に遭わせた。
2人を見たという証言から、そんな噂が立っていた。
新聞部でもその記事がそのまま取り上げられていた。
「貴之くんは
茜を守っただけなのに」
悔しそうに明音ちゃんは言う。
明音ちゃんは何度も本当のことを言った。
けれど誰も信じてくれなかった。
「噂を早く
忘れてくれればいいのにな」
俺は切実に思った。
貴之は大事な親友だ。
けれど茜も俺にとって大事な幼なじみだから。
何より、もう茜を苦しめたくはなかった。
せっかく貴之が茜を助けてきたのに。
「噂がおさまるまで
待つのが一番かもな」
「…それは無理かも」
「どういうこと?」
明音ちゃんは深刻な顔をしていた。
もう止めることは出来ないと言うようだった。
「ついに茜に対する
イジメが始まったみたい」
「…は?」