AKANE -もう一度、逢いたい-


「茜の机の上に
菊の花が置かれてた」

「それって…」

「茜を死んだこととして
扱うつもりだと思う」

「………」

「私はかばうことできるけど、蒼次くんはあんまり言わない方がいいと思う」

「でもこうなったら
俺がはっきりと言うよ」

「絶対に口出ししないで」

「どうして…」

「蒼次くんたちがかばったら、
もっと目の敵にされちゃうよ」

「…そっか」


俺は何も言えなかった。


俺の一言で助けることが出来る。


けれどそれは解決にはならない。


俺の見えない水面下で同じことを繰り返す。


下手したら今よりも悪化するだろう。


ファンの怒りを逆なですることになるからだ。


前にも明音ちゃんが一度、標的にされていた。


茜があのあと教えてくれなかったら俺も気付けなかったに違いない。


俺たちに好意を示してくれることは嬉しい。


けれどそれは諸刃の剣でもある。


「…茜に学校に来てほしいけど、今来たらイジメの標的にされちゃうよ」

「…そうだな」


茜は完全に標的にされるだろう。


しかも茜は中学の時のイジメもあったから、もっとつらい経験をすることになってしまう。

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