AKANE -もう一度、逢いたい-


そこへチャイムが鳴った。


ピンポーン


「…はい」


あたしは重い体を起こしてドアを開けた。


ガチャ


その瞬間だった。


何かを投げつけられた。


ビチャと音がしてヌルヌルしていた。


あたしに何個かヌルヌルしたものぶつける。


すると投げた人達は一目散に逃げ去った。


あたしはその後ろ姿を見つめた。


それは摂高の制服を着た女子たちだった。


「…そっか」


勘のいいあたしは察してしまった。


なぜ投げつけられたのかを悟ってしまった。


そしてそのヌルヌルしたものを触る。


明らかにこれは生卵だろう。


そしてドアには『人殺し』の紙が何枚も貼られていた。


「…典型的すぎだって」


あたしはドアを開けたまま、その場に座り込んだ。


チラチラと舞う雪が顔に触れた。


「冷たいなぁ」


でもその感覚があたしが生きていることを悟らせた。

< 265 / 311 >

この作品をシェア

pagetop